日本透析医学会雑誌
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特集:腹膜透析(PD)の未来
PD+HD併用療法
丹野 有道
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2017 年 50 巻 11 号 p. 705-709

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抄録

腹膜透析 (PD) 症例において, 経年的に腹膜機能あるいは残存腎機能が低下した際に, 直接血液透析 (HD) に移行するのではなく, 週5~6日のPDに通常週1回のHDを併用する, PD+HD併用療法が選択されることがある. 本治療法は1990年代に日本で導入され, 現在では, 本邦の全PD患者の約2割が併用療法をうけている. 本邦における併用療法は, 週5~6日のPDに週1回4時間程度のHDを行い, HDは生体適合性のよい高性能膜を使用し, 血流・透析膜面積は最大限とする方法が主流である. PD導入早期からの併用も試みられているが, 多くの例では廃絶した残存腎機能を補うという目的で, 溶質除去不全 (特に中分子尿毒素) ・貧血・体液過剰を指標として開始され, これらの改善効果が報告されている. また, 腹膜傷害の低減効果が期待されているが, 今後の検証が必要である. 一方で, PD期間が長期になることでの腹膜劣化, 被囊性腹膜硬化症などへの懸念があり, 適切な継続期間や中止基準の確立が望まれる. これに加え, 併用療法のエビデンス確立のためには, 併用の方法・開始時期・合併症の罹患率・生命予後・QOL・医療経済への影響などに関して, 今後の検証が期待される.

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© 2017 一般社団法人 日本透析医学会
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