日本透析医学会雑誌
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症例報告
クリプトコッカス尿症を呈し血液透析導入後にクリプトコッカス髄膜炎を発症した1例
渡邉 健太郎中井 健太郎藤井 秀毅清水 真央中野 淳子石田 理紗渡邉 周平粟田 梨愛吉川 美喜子河野 圭志後藤 俊介瀧口 純司岩崎 徹西 慎一
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2017 年 50 巻 2 号 p. 157-161

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抄録

症例は72歳男性. 65歳より糖尿病の加療を開始, 69歳より降圧薬を開始されていた. 71歳時に特発性間質性腎炎の診断でステロイドによる治療を開始されたが, 腎機能障害は進行し, 治療開始7か月後に血液透析導入となった. 導入時に炎症反応の上昇を認め, 尿からC. neoformansを検出したが, 無症状で炎症反応と尿培養は無治療にて陰性化したため, 外来維持透析に移行した. 透析導入から34日目に発熱と性格変容を契機に入院となり, 髄液よりC. neoformansを検出し, クリプトコッカス髄膜炎と診断した. アムホテリシンBリポソーム製剤とフルシトシンで治療を開始し, 軽快後はフルコナゾールの治療へ切り替えて退院した. 透析患者は免疫不全の状態にあり, 導入期より感染症に注意が必要である. クリプトコッカス尿症は, 全身性クリプトコッカス感染症を示唆するものであり, 顕在化する可能性が高いため注意深い経過観察が重要である.

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© 2017 一般社団法人 日本透析医学会
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