日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
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50 巻, 2 号
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第61回日本透析医学会学術集会・総会ワークショップより
第61回日本透析医学会学術集会・総会ワークショップより
総説
原著
  • 日ノ下 文彦, 秋葉 隆, 勝木 俊, 戸村 成男
    2017 年 50 巻 2 号 p. 139-146
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/01
    ジャーナル フリー

    「障害透析患者の透析実態に関するアンケート調査」 を実施し475の腹膜透析 (peritoneal dialysis : PD) 施設から回答を得た. その結果, 注排液を自分自身でできない患者を抱える施設が173施設 (36.4%) あった. 注排液の補助者は, 配偶者42.5%, 子供36.0%, 看護師15.0%であった. 自宅や職場以外で注排液を実施している患者のいる施設は64施設あり, そうした患者のPD実施場所は, 病院/診療所が42施設と最も多く, その患者数は73人であった. 3か月以上の長期入院PDを経験した施設は88施設 (38.5%) に上った. 高齢者におけるPDに関する問題点として, 在宅PD実施のためのサポート体制の整備・拡大を求める意見や病院以外の受入れ施設の充実を求める意見が多かった. 高齢PD患者の実態がある程度明らかになったので, 今後はさまざまな観点からPD患者の支援環境を改善するための検討が必要である.

研究速報
  • 堀田 祐紀
    2017 年 50 巻 2 号 p. 147-152
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/01
    ジャーナル フリー

    バスキュラーアクセス (vascular access : VA) 病変に対する経皮経管的血管形成術 (percutaneous transluminal angioplasty : PTA) は第一選択の治療法として普及しているが, 慢性期の高い再狭窄率が問題である. 再狭窄機序として, バルーン拡張後に生じる内膜・中膜などの亀裂あるいは剝離に対して, 損傷血管修復のため平滑筋細胞活性化などの内膜増殖により再狭窄が生じる. したがって拡張後の内膜損傷軽減が重要であり, 内膜性状評価の可能な光干渉断層法 (optical coherence tomography : OCT) を用いて各種バルーン拡張前後の評価を行った. Non-compliant balloonおよびsemi-compliant balloonでの短時間加圧では, 拡張後に内膜解離などの大きな内膜損傷を認めた. これに対してnon-compliant balloonおよびscoring balloon (Cutting balloon・NSE balloon・AngioSculpt balloon) による低圧からの徐々な加圧では, 拡張後の内膜損傷は比較的軽微であった. VA再狭窄病変に対するPTA後の内膜損傷評価に, OCT画像は有用であると考えられた.

短報
  • 鈴木 一裕, 鈴木 翔太, 本田 周子, 新田 浩司
    2017 年 50 巻 2 号 p. 153-156
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/01
    ジャーナル フリー

    スクロオキシ水酸化鉄 (以下SO) を使用した症例について検討した. 鉄剤投与を行っていない当院透析患者リン吸着薬内服21例について同用量のSOに切り替え, 切り替え前と12週後での血清リン値, 鉄関連検査値, 副作用発現頻度, 血清fibroblast growth factor 23 (FGF23) 値の変化につき検討を行った. SOを継続して内服できた18例のリン値は有意に低下した. 副作用中止例は3例 (下痢が2例, 軟便が1例) が内服中止した. 鉄関連検査値については投与前後で差を認めず, 血清FGF23値の変化は透析前血清リン値に依存した.

症例報告
  • 渡邉 健太郎, 中井 健太郎, 藤井 秀毅, 清水 真央, 中野 淳子, 石田 理紗, 渡邉 周平, 粟田 梨愛, 吉川 美喜子, 河野 圭 ...
    2017 年 50 巻 2 号 p. 157-161
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/07
    ジャーナル フリー

    症例は72歳男性. 65歳より糖尿病の加療を開始, 69歳より降圧薬を開始されていた. 71歳時に特発性間質性腎炎の診断でステロイドによる治療を開始されたが, 腎機能障害は進行し, 治療開始7か月後に血液透析導入となった. 導入時に炎症反応の上昇を認め, 尿からC. neoformansを検出したが, 無症状で炎症反応と尿培養は無治療にて陰性化したため, 外来維持透析に移行した. 透析導入から34日目に発熱と性格変容を契機に入院となり, 髄液よりC. neoformansを検出し, クリプトコッカス髄膜炎と診断した. アムホテリシンBリポソーム製剤とフルシトシンで治療を開始し, 軽快後はフルコナゾールの治療へ切り替えて退院した. 透析患者は免疫不全の状態にあり, 導入期より感染症に注意が必要である. クリプトコッカス尿症は, 全身性クリプトコッカス感染症を示唆するものであり, 顕在化する可能性が高いため注意深い経過観察が重要である.

  • 元 志宏, 野辺 香奈子, 金井 弘次, 池田 直史
    2017 年 50 巻 2 号 p. 163-166
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/03/07
    ジャーナル フリー

    ルビプロストン投与により大腸メラノーシスが改善した維持透析患者の1例を経験した. 症例は79歳, 男性. 便秘のためセンノサイド24mgを連日内服していた. センノサイド内服後も排便コントロール不良であり, 器質的疾患除外目的に大腸内視鏡検査が施行された. 大腸内視鏡では大腸癌などの狭窄病変はなかったが, 全結腸に大腸メラノーシスを認めた. センノサイド内服を中止し, ルビプロストン内服を開始したところ, 排便コントロールは改善し, 大腸メラノーシスも改善した. 透析患者は便秘の有病率が高く, センノサイドなどのアントラキノン系薬剤を使用する頻度が高い. アントラキノン系薬剤の長期連用により耐性が出現し, 大腸メラノーシス発症のリスクとなる. 大腸メラノーシスを呈する透析患者にルビプロストンを投与することで, 便秘や大腸メラノーシスが改善する可能性がある.

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