日本透析医学会雑誌
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症例報告
Epstein-Barr virus再活性化を契機に多発性骨髄腫と診断した維持透析患者の1例
大棟 浩平伊東 悠貴岩重 洋平伊藤 沙耶嘉藤 光歩杉谷 盛太前沢 浩司大津 聡子東 義人
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2017 年 50 巻 6 号 p. 413-419

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抄録

66歳男性. 糖尿病性腎症による慢性腎不全のため15年前に血液透析導入となった. 入院5日前から発熱がみられ精査を行うも原因は判然とせず, 不明熱として加療目的に入院となった. 熱源としてウイルス感染症や血管炎・悪性リンパ腫といった疾患を念頭に検査を施行した結果EBVの再活性化が認められ, その原因検索を行ったところ, 多発性骨髄腫が判明した. 多発性骨髄腫の早期発見・加療により解熱, 寛解に至った. EBVの再活性化の原因としてはM蛋白産生に伴う免疫機能低下が考えられた. まれではあるが免疫機能が低下する疾患によりEBVが再活性化し, 発熱の原因となることがあるため, 不明熱の一因として考慮する必要がある.

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© 2017 一般社団法人 日本透析医学会
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