日本透析医学会雑誌
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症例報告
頭部外傷直後に透析を開始し, MRIにて脳梁の腫脹性病変を認めた1例
須藤 ゆきな杉浦 章宮澤 恵実子上田 詩文
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2018 年 51 巻 7 号 p. 453-458

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抄録

症例は48歳男性. 糖尿病性腎症にて透析開始直前のX月Y日に倒れ, 当院に搬送された. 来院時, 軽度の硬膜外出血, 腎機能増悪, 代謝性アシドーシス, JCS 2程度の意識障害を認めた. 頭部外傷を考慮し初日は降圧のみで経過観察し頭蓋内血腫は縮小したが, 意識レベルはJCS 3程度にやや増悪した. 尿毒症性脳症の関連を疑いY+1日に緩徐に血液透析を開始したが, Y+2日に意識レベルがJCS 100まで増悪したため, 持続血液透析濾過に移行した. Y+4日に頭部MRIを施行し, 脳梁に強い腫脹性変化を認めた. 外傷, 脳梗塞, 感染症を含めさまざまな疾患を鑑別し, 今回の意識障害は頭部外傷と全身状態悪化を背景とした不均衡症候群に類似した病態の可能性が考えられた. 経過を追うごとに脳梁病変は改善を認め, 意識レベルもJCS 0まで回復した. 軽症頭部外傷後に透析開始し, MRIでの特異な所見を呈した1例を経験したため報告する.

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© 2018 一般社団法人 日本透析医学会
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