2019 年 52 巻 11 号 p. 625-630
【背景】これまでにも低カリウムジュースは販売されていたが, 家庭で低カリウムジュースを作成する手段は普及していない. 【方法】100%オレンジジュース100mLをポリスチレンスルホン酸ナトリウムとバッチ法で反応させ, 各種電解質濃度の測定や味覚センサーTS-5000Zによる解析を行い, その結果を基に改良を加えた. 【結果】カリウム濃度は反応開始から15分以降はあまり変化せず, 反応時間は15分とした. ポリスチレンスルホン酸ナトリウム15gに15分反応させた低カリウムジュースはカリウムを平均85%削減できたが, 味覚センサーによる解析では酸味の値が低下し旨味の値が上昇していた. そこで, 低カリウムジュース100mL当たりクエン酸約0.1g, 50%ブドウ糖0.1mLを加え再度味覚センサーで解析したところ, オレンジジュース原液に近い味覚分布の低カリウムジュースができあがった. 【結論】上記は家庭でも再現可能な手段であり, 他の種類の飲料やスープ等への応用も期待できる.