日本透析医学会雑誌
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原著
周術期の透析液カリウム濃度補正による血清カリウム値とカリウム除去量の変化
吉田 めぐみ金崎 雅美中川 健二中村 寿伸川添 智道吉田 均武田 尚子荒木 信一宇津 貴
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2019 年 52 巻 6 号 p. 357-361

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抄録

低カリウム血症は, 筋力低下や突然心臓死の危険因子である. 本邦の透析液はカリウム濃度2mmol/Lであるため, 周術期や食事摂取不良の患者は, 透析後に低カリウム血症を生じることがあり, 当院では必要に応じ透析液カリウム濃度を3mmol/Lに調整し血液透析を実施している. 今回, 周術期維持透析患者9例に対し, 透析液カリウム濃度2mmol/L (透析液2) と3mmol/L (透析液3) にて各3回ずつ血液透析を行い透析後低カリウム血症の発症とカリウム除去量について評価した. 結果, 透析後血清カリウム3mmol/L未満の低カリウム血症は, 透析液2で14.8%, 透析液3で0%認められた. 総カリウム除去量は, 透析液2では36 [四分位: 24-48] mmolであり, 透析液3では24 [12-24] mmolと有意に減少していた (p<0.05). 透析液カリウム濃度を3mmol/Lに調整した血液透析は, 周術期の透析後低カリウム血症を防ぐために有用である可能性がある.

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© 2019 一般社団法人 日本透析医学会
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