2019 年 52 巻 9 号 p. 539-544
症例は糖尿病性腎症による末期腎不全で維持血液透析中の65歳, 男性. 201X年6月Y日, 進行性の回転性眩暈と歩行困難を自覚し精査加療目的に入院となった. 診断に難渋し, 神経内科を受診したところ, 特異的な眼球運動, 小脳失調症状, 振戦様不随意運動からオプソクローヌス・ミオクローヌス症候群 (OMS) と診断された. OMSに対してステロイドパルス療法を施行したが神経学的所見の改善を認めず, 肺炎を併発し第17病日に死亡した. OMSはオプソクローヌス, 小脳失調, 体幹および四肢のミオクローヌスを主症状とする疾患である. 悪性腫瘍に関連する傍腫瘍性神経症候群の一病型としても発症し, 本症例では追加で行った造影CT検査でstageⅣの原発性肺癌と診断された. 傍腫瘍性オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群はまれな疾患であり, 文献的考察を加えて報告する.