2020 年 53 巻 6 号 p. 305-311
血液透析患者において前腕ループグラフトの長期使用例ではループグラフト自体の硬化や内膜肥厚などで穿刺困難や頻回の血栓閉塞を起こしVAIVT (vascular access intervention therapy) 困難になる. 今回VAIVTを断念した前腕ループグラフト13例に皮弁を作成しつつ老朽化したグラフトを半分だけ抜去し同一部位に新しいグラフトを設置する “皮弁形成グラフト部分置換術” を行った. 術後1か月は残存ループで透析を行った. 5例で置換していない残存ループグラフトに “皮弁形成グラフト部分置換術” を追加した. 術後全例で以前と同じ部位で透析を再開できた. この手術は前腕ループグラフトの長期使用例に対する姑息的治療ではあるが術後シャント肢の腫脹は軽度でスチール症候群や心負荷増大の発生は少ないと思われる. 非カフ型留置カテーテル不要で皮弁形成により将来グラフトの穿刺範囲が限定されない利点があった.