日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
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原著
維持透析中の多発性囊胞腎患者における疾患および合併症に関する意識調査―びわこ臨床透析カンファレンス共同研究―
武田 尚子有村 徹朗磯野 元秀一色 啓二大橋 誠治小川 勉門 浩志渋谷 和之宗村 万里子谷口 正展永作 大輔西尾 利樹西尾 利二西村 正孝廣川 隆一牧石 徹也森田 善方山田 衆若林 賢彦渡辺 裕金﨑 雅美前川 聡荒木 信一びわこ臨床透析カンファレンス共同研究グループ
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2020 年 53 巻 7 号 p. 401-409

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抄録

維持透析中の多発性囊胞腎患者の疾患・合併症の認知度, 家族への告知状況などを調査するために, 滋賀県下の透析施設でアンケート調査を施行し20施設70名より回答を得た. 診療録から調べた主要合併症有病率は, 脳出血11.4%, 脳動脈瘤17.1%, 心臓弁膜症21.4%であった. 患者へのアンケート調査では, 合併症の認知度は全体で70%, 疾患別では脳出血31.4%, 脳動脈瘤41.4%, 心臓弁膜症8.6%であった. 家族への病名告知は94%と高いものの, 家族への受診勧奨は57.1%, 新規治療薬トルバプタンの認知度も51.4%にすぎなかった. 本調査により, 脳動脈瘤など致死的合併症の認知度は低く, 家族にも疾患・合併症検査を強く勧めておらず, 新規治療薬の情報も十分でない実態が明らかとなった. 維持透析施設においても, 患者とその家族の治療機会が失われないように, 医療者側からの適切な疾患情報提供が必要であると考えられた.

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© 2020 一般社団法人 日本透析医学会
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