日本透析医学会雑誌
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症例報告
被囊性腹膜硬化症を合併し, 剖検にて消化管を中心とする透析アミロイドーシスと診断し得た血液透析患者の1例
中島 志織忠地 一輝米田 真也下田 次郎石田 和之小塩 弘樹渋谷 俊介鈴木 雄那須 崇志
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2020 年 53 巻 7 号 p. 419-425

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抄録

症例は57歳の男性. 既往歴は慢性C型肝炎, 慢性糸球体腎炎. 慢性糸球体腎炎による末期腎不全のため42年間血液透析, 途中5か月間の腹膜透析を施行した. 近医で維持血液透析施行中に腸閉塞を発症した. Computed tomography (CT) 検査で胆石, 膵管拡張, 腹水貯留を認め, 血液検査ではトリプシン, 膵ホスホリパーゼA2は高値であったが, 他院消化器内科での精査で膵炎は否定された. 以降の精査加療目的に, 当院紹介となった. CT検査で腹腔内膿瘍, free airを認めたため, 緊急開腹手術を施行した. 術中に敗血症性ショックをきたしたため, 腹腔内膿瘍の原因検索は行わず, 腹腔内洗浄のみ施行し手術を終了した. 人工呼吸器管理, 持続的血液濾過透析 (CHDF) を用いての集中治療を施行したが, 代謝性アシドーシス, 播種性血管内凝固症候群 (DIC) が進行し, 術後第13病日に死亡した. 病理解剖の結果, 消化管・肝・膵・心の透析アミロイドーシス, 被囊性腹膜硬化症 (EPS), 腹腔内膿瘍の診断に至った.

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© 2020 一般社団法人 日本透析医学会
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