日本透析医学会雑誌
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症例報告
維持血液透析中の難治性関節リウマチ患者への生物学的製剤の使用経験
小野 高志尾上 友朗福満 研人佐内 透福満 東馬
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2021 年 54 巻 1 号 p. 51-56

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抄録

症例は71歳男性でX‒8年より維持血液透析を施行中である.X‒5年に関節リウマチ(RA)と診断された.近医にてサラゾスルファピリジン腸溶錠(salazosurufapyridine: SASP),プレドニゾロン(predonisolone: PSL)が開始されるも,PSLは消化器症状にて自己中止された.SASPのみ継続するも効果は不十分であった.X‒4年に生物学的製剤投与を開始した.1剤目のエタネルセプト(etanercept: ETN)は効果不十分で,トシリズマブ(tocilizumab: TCZ)に変更し関節症状と検査所見は改善した.しかし1年2か月後皮膚掻痒感にて中止した.そのあと,ゴリムマブ(golimumab: GLM),続いてアバタセプト(abatacept: ABT)に変更し,掻痒感は改善したが関節炎は再燃した.現在,5剤目のサリルマブ(sarilumab: SAR)で治療中である.関節症状と炎症反応は改善した.多剤の生物学的製剤で治療に難渋したがSARが有効であったと考えられた.

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© 2021 一般社団法人 日本透析医学会
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