症例は71歳男性でX‒8年より維持血液透析を施行中である.X‒5年に関節リウマチ(RA)と診断された.近医にてサラゾスルファピリジン腸溶錠(salazosurufapyridine: SASP),プレドニゾロン(predonisolone: PSL)が開始されるも,PSLは消化器症状にて自己中止された.SASPのみ継続するも効果は不十分であった.X‒4年に生物学的製剤投与を開始した.1剤目のエタネルセプト(etanercept: ETN)は効果不十分で,トシリズマブ(tocilizumab: TCZ)に変更し関節症状と検査所見は改善した.しかし1年2か月後皮膚掻痒感にて中止した.そのあと,ゴリムマブ(golimumab: GLM),続いてアバタセプト(abatacept: ABT)に変更し,掻痒感は改善したが関節炎は再燃した.現在,5剤目のサリルマブ(sarilumab: SAR)で治療中である.関節症状と炎症反応は改善した.多剤の生物学的製剤で治療に難渋したがSARが有効であったと考えられた.