【目的】血液透析患者における,体組成の長期変化を縦断的に検討する.【方法】1995年から15年後の2010年まで追跡できた,血液透析患者84例を対象とした.全身および四肢,体幹部の除脂肪量と脂肪量を測定し,その変化を検討した.【結果】15年の経過において,体重には有意な変化を認めなかった.しかし,除脂肪量は全身,四肢,体幹部ともに,有意な低下が認められた.一方,脂肪量は四肢では有意な変化を認めなかったが,全身,体幹部では有意な増加が認められ,その体幹部/全身の比率が増加していた.体幹部の脂肪量は,内臓脂肪を反映するとされており,皮下脂肪よりも内臓脂肪が増加した可能性が示唆された.【結語】15年間の経過において,サルコペニア肥満の状態が進行していた可能性があるものと考えられた.一方,体重には有意な変化を認めず,体重だけではこのような変化を評価できない可能性が示唆された.