2021 年 54 巻 11 号 p. 553-559
【目的】服薬アドヒアランス向上の一助として,患者自身が確実に服薬できると思う錠剤数を調査した.【方法】維持血液透析患者455人を対象に,服薬状況ならびに「1回あたり何錠までの薬剤ならば確実に飲むことができるか?」(服薬可能錠数)を聞き取り,患者背景および実際に処方されている1日あたりの処方錠数(処方錠数)との関係を解析した.【結果】服薬可能錠数の中央値は5.5(4.5~7.0)錠/回であり,最頻値は5錠(19.8%)であった.服薬可能錠数は,性別および透析歴と関連しなかったが,年齢と負相関し,糖尿病患者および準夜透析患者で多かった.処方錠数の中央値は16.8(11.4~23.3)錠/日であり,服薬可能錠数と正相関した.重回帰分析の結果,服薬可能錠数の正の説明変数として,糖尿病,準夜透析,処方錠数が選択された.【結語】服薬可能錠数は実際の処方錠数と正相関する.その背景に,high pill burdenに対する患者自身の馴化や受容が潜在する可能性が考えられた.