日本透析医学会雑誌
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症例報告
リファキシミンにより肝性脳症の再発を予防できた血液透析患者の1例
野田 竜之介權 杞映松永 典子吉川 隆広内田 梨沙大瀬 貴元
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2021 年 54 巻 11 号 p. 591-596

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抄録

78歳女性.X-11年に妊娠高血圧症候群を原因とした慢性腎不全に対して血液透析を導入された.X-1年10月頃から透析中に意識障害を呈し,他院で高アンモニア血症による意識障害と診断され,ラクツロース,分岐鎖アミノ酸製剤を開始された.X年3月末から再び透析終了時に意識障害が出現し,5月に当科に入院した.血清アンモニア値190 μg/dL,造影CTで胃腎・脾腎シャントを認め,非アルコール性脂肪肝炎による肝硬変と診断した.透析後に意識障害を呈する経過から,血液透析によって肝外シャント血流が増加することで肝血流が低下し,肝性脳症を発症したと考えられた.IVRや手術などの侵襲的な処置は希望しなかったため,アンモニア産生菌抑制の目的でリファキシミンを開始した.血清アンモニア値は速やかに100 μg/dL前後まで低下し,意識状態も改善した.退院後1年にわたり内服を継続し,再発を認めずに良好な状態を保てている.

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© 2021 一般社団法人 日本透析医学会
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