2022 年 55 巻 10 号 p. 595-601
76 歳,男性.X-3 年7 月に左腎細胞癌に対して左腎摘出術が施行された.X-2 年7 月に左横隔膜脚への転移が確認され,パゾパニブ,アキシチニブなどによる加療が行われたが,病勢進行し,重粒子線照射も行われた.しかしX 年2 月には右肺上葉に転移を認めたため,ニボルマブ投与開始となった.4 回投与された時点で腎障害をきたしたため当科紹介となり,X 年6 月に当科入院となった.第8 病日に腎生検を施行し,半月体形成性糸球体腎炎および急性尿細管間質性腎炎の診断となった.第12 病日よりステロイド加療を開始した.治療途中で2 週間ほど血液透析を要したが,第52 病日には血液透析を離脱することができた.免疫チェックポイント阻害薬による腎障害として半月体形成性糸球体腎炎は症例報告もほとんどなく,貴重な症例と考えられたため報告する.