2022 年 55 巻 3 号 p. 209-213
自己血管でシャント作成困難な患者が増えており,人工血管シャントの比率が増加傾向である.人工血管の維持には,ボタンホール穿刺が有効との報告もあるが,感染のリスクから推奨されていない.われわれは人工血管の維持を目的としてダルニードルによるボタンホール穿刺を行うためにマニュアルを作成し穿刺者を限定することで,7年間における当院の人工血管シャント患者6名において人工血管感染を幸い経験していない.穿刺に関しては1か月間におけるボタンホール穿刺時の探り回数と成功率を計測した結果,10回以内の成功率が97.9%,10回を超えると成功率が50%であった.さらに改訂したマニュアルを厳守し,手技を理解した穿刺者を限定してボタンホール穿刺を行うことで,人工血管の感染と破綻を防ぎ長期維持温存が可能であると考えられる.