日本透析医学会雑誌
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短報
吻合部におけるシャント音とドップラー超音波を用いた上腕動脈平均血流量,血管抵抗指数の関係
西浦 庸介太田 圭祐小林 利江倉知 あかね村瀬 景子石黒 正崇平野 ツヤ子伊藤 友一井手 敦基濱野 髙行
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2022 年 55 巻 3 号 p. 215-220

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抄録

われわれはシャント音を人工知能で音質を数値化し評価できることを報告した.しかし,聴診部位の情報が欠損しており閉塞の予測因子としては不足があった.また,分枝の多いシャントは血流量が低下しにくいため,ドップラー超音波による上腕動脈平均血流量(mFV)や血管抵抗指数(RI)では閉塞を予見しにくいと言われている.しかし,聴診部位が記録しやすい吻合部のみでのシャント音であれば,前述超音波所見との関連を認めるのではないかと考えた.評価項目として,シャント吻合部での音質と超音波によるmFV,RIを用いて比較を行った.その結果,シャント血流量を示すmFVはシャント聴診音の強度と相関した.超音波によるRIは人工知能で判断される断続音と弱い相関を認めた.日々の聴診によりシャント血流量を間接的に評価することが可能であると考えられた.しかし,吻合部のみでなくシャント全長にわたる聴診が狭窄音の評価に重要である.

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© 2022 一般社団法人 日本透析医学会
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