日本透析医学会雑誌
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症例報告
COVID-19 の急性期に肺アスペルギルス症を発症した血液透析患者の1 例
池田 弘味埜 泰明高橋 泰井口 泰孝井口 大助藤田 浩二大重 和樹
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2022 年 55 巻 7 号 p. 467-473

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抄録

症例は85 歳,男性.糖尿病による慢性腎不全で血液透析導入となり,透析歴は2.7 年であった.高血圧,気管支喘息の合併あり.初発症状は発熱のみで,SARS-CoV-2 抗原検査の陽性が判明し入院となった.肺CT で両肺にすりガラス影が散在していた.第2 病日に酸素投与が必要となり,レムデシビル,デキサメサゾン,ファビピラビルの投与を開始したところ肺炎は改善した.第14 病日のCT ですりガラス影は改善するも左上区に新たな結節影が出現し,第27 病日には空洞を伴う陰影に変化した.第28 病日の血清ガラクトマンナン抗原(GM)が2.5(ODI)と陽性で,肺アスペルギルス症(PA)と診断し,第36 病日からボリコナゾールの投与を開始した.血清GM 抗原の低下とともに空洞病変は改善した.血液透析患者でCOVID-19 急性期に空洞を伴う非典型的な肺病変が出現した場合,PA を疑う必要がある.

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© 2022 一般社団法人 日本透析医学会
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