日本透析医学会雑誌
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症例報告
腹膜透析導入時に重症好酸球性肺炎を発症した1 例
森田 圭介山本 伸也石田 万菜三宅 崇文横井 秀基長崎 忠雄谷澤 公伸柳田 素子
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2022 年 55 巻 7 号 p. 459-465

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抄録

79 歳男性.IgA 腎症による末期腎不全のため入院4 か月前に腹膜透析(peritoneal dialysis:PD)カテーテル留置を行った.出口部形成術を行い,PD を開始したところ10 日目に発熱,咳嗽が出現.抗菌薬不応の肺炎であったため,気管支鏡検査を施行し,肺胞洗浄液の好酸球上昇を認め好酸球性肺炎(eosinophilic pneumonia:EP)と診断した.ブドウ糖PD 液,カテーテルに対するアレルギーを考慮し,血液透析(hemodialysis:HD)へ移行した.一時的に非侵襲的陽圧換気療法を余儀なくされたが,ステロイド大量療法で軽快した. PD を再開し,経過観察していたが,腰椎圧迫骨折で入院した際,ステロイド減量中に肺炎再燃を認めた.治療抵抗性であり,呼吸不全のため逝去した.PD 関連が示唆されたEP は4 例報告されており,原因物質の除去やステロイド投与で改善しPD を継続できたとされる.しかしながら肺病変増悪が致命的になることがあり,EP の原因としてPD 関連が除外できない場合はPD からHD への完全移行も考慮される.

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© 2022 一般社団法人 日本透析医学会
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