日本透析医学会雑誌
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原著
血液透析患者の新型コロナウイルス感染症に対するレムデシビルの安全性に関する検討
古賀 俊充田中 義輝伊奈 研次南部 隆行玉城 裕史不破 大祐小島 木綿子佐々木 陽子柏原 輝子榊原 千穂高橋 彩子太田 圭洋
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2022 年 55 巻 9 号 p. 525-531

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抄録

レムデシビルはCOVID-19 治療薬として本邦で最初に承認された抗ウイルス薬である.一般集団におけるレムデシビルの有用性については多くの報告があるが,透析患者に対するレムデシビルの安全性に関する情報は限られている.本研究では2022 年4 月までにCOVID-19 に罹患した透析患者58 例を対象にレムデシビルによる有害事象を後方視的に評価した.レムデシビル投与群43 例と非投与群15 例で有害事象の頻度に有意差を認めず,またレムデシビル3 日間投与群と非3 日間投与群においても有害事象の発生率と有効性に差はなかった.レムデシビル投与後,肝機能障害が3 例発現したが,1 例はグリチルリチン製剤を投与するのみで改善し,ほか2 例は自然に軽快した.以上よりCOVID-19 の治療として,レムデシビルの投与は,肝機能障害に注意すれば,血液透析患者に対しても安全で有用な治療法と考えられる.

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© 2022 一般社団法人 日本透析医学会
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