日本透析医学会雑誌
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原著
血液透析による除水が部位別多周波数生体電気インピーダンス法で測定した体水分量と体脂肪量におよぼす影響
安藤 誠望月 精一島田 典明浅野 健一郎
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2023 年 56 巻 11 号 p. 421-428

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抄録

血液透析(HD)による除水が部位別多周波数生体電気インピーダンス法(sMF-BIA)で測定されるHD患者の体水分量(TBW)と体脂肪量(FM)におよぼす影響を明らかにするために,HD患者67名の除水量とTBWおよびFMとの関係をHD前後で調べた.男女ともに,除水量とTBWの変化量の平均値はほぼ一致したが,除水量の増加に伴って両者の値の乖離が増大する傾向にあった.また,HD後の除脂肪体重水分含有率(TBW/FFM)を生理的な基準値の0.73と仮定した場合,HD前のFMはHD後のFMから除水量の約37%に相当する重量分だけ低い値として理論的に推定可能であり,男女ともに推定値と測定値とでよく一致した.以上の結果から,HDによる大量の除水はsMF-BIAによるTBWの測定値に影響を与え,過剰な体液量の貯留によるTBW/FFMの上昇は,FMの測定値に影響をおよぼすことが示唆された.

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© 2023 一般社団法人 日本透析医学会
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