日本透析医学会雑誌
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症例報告
腹膜炎加療中にセファロスポリン系抗菌薬関連脳症を生じた腹膜透析患者の1例
雨宮 伸幸水谷 美保子梨本 友美川口 絢美岩谷 洋介能木場 宏彦山﨑 麻由子杉浦 秀和
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2023 年 56 巻 6 号 p. 243-249

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抄録

腹膜透析(PD)関連腹膜炎はPD患者にとって重要な合併症であり,セファロスポリン系抗菌薬は初期治療に選択され得る薬剤である.86歳女性,腎硬化症による慢性腎臓病のためPDを導入.PD導入5か月後に細菌性腹膜炎を発症し,セファゾリン(CEZ)1g,セフェピム(CFPM)1g/日の腹腔内投与を開始した.腹膜炎は改善傾向となるも第5病日から意識障害が出現した.頭部MRIで原因となる異常を認めず,脳波検査で三相波を認め,抗菌薬関連脳症(AAE)が疑われた.第5病日CEZ中止,第6病日CFPMをメロペネムに変更し,意識障害は徐々に改善し第16病日には清明となり,第29病日に退院した.PD患者に発症したAAEの報告は限られており,さらに推奨される腹腔内投与量でのAAEの既報はない.しかし,PD患者ではCFPMの除去効率は悪く,用量を調節し腹腔内投与を行った場合でもAAEには注意が必要である.

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© 2023 一般社団法人 日本透析医学会
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