【目的】2022年末のわが国の透析患者総数は,初めてその実数を減らした.この背景を明らかにする.【対象】WADDAシステムから値を入手した.2022年末値は学会報告資料を用いた.各年調査値は施設数に基づく回収率で補正した値を用いた.一般人口統計値は総務省統計局e-Statを利用した.【方法】性・年齢別に有病率(透析患者数/人口10万人),罹患率(年間導入数/人口10万人年),そして死亡率(年間死亡数/年間平均患者数)を比較した.死因別死亡数推移も検討した.【結果】増加基調にあった65歳以上の有病率は2020年以降減少した.罹患率は終始減少基調であった.減少基調であった死亡率は2020年以降全年齢で増大した.2020年以降,感染症死亡数,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)肺炎死亡数が急増した.【結論】2022年末透析患者数減少には,2020年以降のCOVID-19肺炎死亡数増加が影響したと考えられた.