日本透析医学会雑誌
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症例報告
妊娠経過中にネフローゼ症候群による急性腎不全をきたしたがステロイドおよび血漿交換にて血液透析離脱,完全寛解となった1例
寺田 菜々子後藤 俊介齊藤 慶出口 雅士藤井 秀毅西 愼一
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2024 年 57 巻 4 号 p. 165-169

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抄録

症例は37歳女性,妊娠19週に浮腫および蛋白尿が出現し,妊娠20週6日にネフローゼ症候群と診断.糸球体腎炎によるネフローゼ症候群を疑い,妊娠21週4日からステロイドパルスを行うも腎機能はeGFR 16.3 mL/min/1.73m2まで悪化.乏尿と体重増加も認め当院に転院した.更なる腎機能悪化を認め妊娠22週1日から血液透析を開始.同時にステロイド療法に加えて血漿交換も併用した.妊娠22週4日より尿量は増加.尿蛋白減少,腎機能も改善し透析を離脱した.治療による合併症は認めず胎児にも問題は認めなかった.妊娠23週3日には尿蛋白0.13 g/gCr,eGFR 85.8 mL/min/1.73m2となり,その後も経過は順調で妊娠38週0日に2,568 gの女児を出産した.妊娠中に血液透析まで必要となった急性腎障害を伴うネフローゼ症候群に対し,血漿交換は治療効果を高める可能性があり考慮すべき治療法と思われた.

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