2024 年 57 巻 4 号 p. 161-164
自動腹膜透析(APD)は一般的に室内で行う透析方法である.今回船上でAPDを行うことができたため報告する.症例は55歳男性.職業は運搬船会社経営.糖尿病性腎臓病による末期腎不全のため腹膜透析導入となった.経営者で自らも乗船して仕事を継続することを希望した.APDは室内で行うことが原則であり船上での振動も予想されたため,乗船中に連続携行式腹膜透析(CAPD)を行った.しかし,乗船中は多忙のため決まった時間にバッグ交換を行うことができずに治療回数を自己判断で減らし溢水状態となった.CAPD継続が困難のためAPDを行うこととした.APDに変更後は安定した透析を継続することができた.船上でも安全にAPDを行うことが可能である.