日本透析医学会雑誌
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症例報告
持続携行式腹膜透析患者に発症した鼠径ヘルニアの4手術例
工藤 立史工藤 岳秋佐藤 裕二工藤 謙三
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2024 年 57 巻 6 号 p. 265-271

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抄録

持続携行式腹膜透析(CAPD)導入後に発症した鼠径ヘルニアに対する手術を経験した.2015年4月より2023年5月までに腹膜透析を施行したのは19名で,うち3名に鼠径ヘルニアを発症し,1名の異時性の両側ヘルニアを含む4手術であった.4例の発症時年齢は82,77,76,76歳で,原疾患はいずれも腎硬化症で腹部手術歴,腹膜炎の既往なく,自動腹膜透析は行わなかった.すべて外鼠径ヘルニアであった.導入より発症までの期間は,それぞれ14,8,5,1か月で,手術は腹膜を切開せずMesh plug法で施行した.CAPDの再開は,術後12,5,3,2日目で,一時的血液透析を行ったのは2例であった.再開での透析液注入量は全例2.0 Lで,手術による減量はなかった.術後観察期間は,2023年5月現在で術後52,31,30,23か月で再発はない.腹膜を切開しないMesh plug法はCAPD患者に有効である.

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