2024 年 57 巻 6 号 p. 259-263
症例は71歳女性.眼底出血を契機に施行された血液検査で貧血,血液像の異常を指摘され血清電気泳動検査でIgA-λ型のM蛋白を認めた.骨髄生検検査でplasma cellの増加は認めないが,immature plasma cellや2核のplasma cellを認めたこと,過粘稠度症候群を疑う粘度上昇があったことから過粘稠度症候群を伴う多発性骨髄腫と診断した.既往にシェーグレン症候群がありIgAに加えIgGも高値であった.過粘稠度症候群を伴っていたことから初回に単純血漿交換療法を施行し,免疫グロブリンの低下を確認したうえで化学療法を開始した.2回目の血漿交換療法として二重膜濾過血漿交換療法を行い血漿交換療法は終了した.比較的稀な過粘稠度症候群を伴うIgA-λ型多発性骨髄腫に対して,化学療法に先行して単純血漿交換,二重膜濾過血漿交換療法を併用し,症状の増悪や血漿分離機,血漿分画器の閉塞なく化学療法を導入できた1例を経験したため報告する.