2025 年 58 巻 10 号 p. 456-465
腎性貧血の治療は従来,エリスロポエチン製剤(ESA)が中心だったが,慢性炎症や鉄利用障害を背景にESA抵抗性を示す患者が一定数存在する.近年登場したHIF‒PH阻害薬は,内因性EPO産生と鉄代謝改善を促す新たな選択肢として注目されるが,長期的な有効性や使い分けは十分に検討されていない.本研究では,ESA抵抗性腎性貧血患者を対象に,ロキサデュスタット(Rox),ダプロデュスタット(Dap),エナロデュスタット(Ena)の3剤を100週間追跡し,Hbコントロール,投与量,安全性を比較した.さらに機械学習により治療反応性に影響する因子を探索した結果,治療開始前の鉄代謝,造血状態,銅代謝が重要であることが示唆された.これらを事前に把握することで,反応性の低い症例の予測と治療効果の最大化が期待される.