腎機能障害を有する患者にセフェピム(CFPM)を7週間投与し発症したCFPM脳症に対し,血液透析(HD)が有効であった1例を経験した.化膿性脊椎炎に対してCFPMを投与され,第50病日JCS 10の意識障害とCr 8.5mg/dLの急性腎障害を認めた.脳波で3相波を認め,長期のCFPM投与歴からCFPM脳症を疑い,CFPMの透析性が高いことを考慮しHDを第51病日から3日間連日施行した.第53病日にJCS 0に改善し,臨床的にCFPM脳症と診断した.CFPM血中濃度を解析した結果,HD前の第50病日174.1 μg/mL(推奨治療濃度46 μg/mL前後),第53病日12.3 μg/mLと低下していた.腎排泄性のCFPMを投与中の腎機能障害患者では,意識障害の原因にCFPM脳症を鑑別にあげるべきである.また,CFPMは透析性が高いことからHDがCFPM脳症の効果的な治療手段となり得る.