日本透析医学会雑誌
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透析技術
血液透析と血液透析濾過における総除水完了後の血漿再充填現象の後方視的検証
城屋敷 健志谷口 和久安永 親生
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2025 年 58 巻 2 号 p. 102-107

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抄録

われわれは治療中における総除水が完了して除水停止した後の血漿再充填率(PRR)を,血液透析(HD)と血液透析濾過(HDF)で比較を行い,その相違性について血液量モニタを用いて検証した.今回の研究ではランダムに選択された10人ずつのHDおよびHDF患者(ランダム群)とHD患者のうちHDFへ変更となった5名の患者(変更前後群)を対象とし,総除水まで完了させた後の無除水治療15分間におけるPRRの中央値の時間変化を観察した.ランダム群では50治療ずつを比較し,変更前後群では治療変更前後2週間の4治療,合計20治療ずつについて比較した.結果,HDFはHDと比較して総除水が完了して除水が停止した状態から約6分20秒間のPRRが上昇傾向になる現象を確認した.また,その間のPRRの中央値はランダム群間ではp<0.05,変更前後群間ではp<0.01と有意にHDFの方が高かった.本研究の結論として,HDFは治療中の総除水完了後のPRR上昇因子の一つである可能性が考えられた.

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© 一般社団法人 日本透析医学会
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