日本透析医学会雑誌
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症例報告
テナパノルによる薬疹が疑われた血液透析患者の1例
島 久登中逵 弘能榊 学村上 佳秀濱尾 巧
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2025 年 58 巻 4 号 p. 215-218

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抄録

82歳男性.高リン血症に対して,選択的Na/H交換輸送体3阻害であるテナパノルの内服を開始した.内服開始28日後に,体幹,両上腕,両大腿に掻痒を伴う,びまん性紅斑を認め,入院した.テナパノルによる薬疹が疑われたため,テナパノルを中止し,第7病日には皮疹の改善を認めた.第9病日にテナパノルの薬剤誘発性リンパ球刺激試験を施行したが,陰性であった.テナパノル中止のみで薬疹が速やかに改善したこと,テナパノル以外の内服薬をすべて継続しても,症状の再燃がないことから,テナパノルが原因薬剤である可能性が高いと考えられた.テナパノルは消化器系の副作用報告が多いが,本症例のように薬疹の原因薬剤となり得ることも念頭に置く必要がある.

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© 一般社団法人 日本透析医学会
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