日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
原著
オミクロン変異株流行期の血液透析患者におけるCOVID‒19ブレイクスルー感染:単一血液透析センターでの経験
宮崎 良一宮城 恭子平山 崇宮永 達人
著者情報
ジャーナル フリー

2025 年 58 巻 7 号 p. 347-353

詳細
抄録

血液透析患者のCoronavirus disease 2019(COVID‒19)の重症度および死亡率は,一般集団と比較して有意に高いと報告されている.しかし,オミクロン株の流行期となり,COVID‒19ワクチンが普及してからの血液透析患者のブレイクスルー感染(BTI)の報告は少ない.今回われわれは,当院の透析センターにおいて,COVID‒19ワクチン接種後の,オミクロン株流行期のBTI状況を調査し,実態を明らかにした.2022年1月から2023年10月までに,207人中52人のBTIを認め(25.1%),その内,7人が2回感染した.直接の死亡例は2例,遅れて死亡した例は2例であった.BTI直後の抗SARS‒CoV‒2スパイクIgG抗体価は,比較的高値であり,BTIの原因として最終ワクチン接種からの期間が長かったことと,その時期に流行していた変異株に対するワクチンが接種できなかったことが要因と考えられた.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top