2026 年 59 巻 8 号 p. 460-469
生体電気インピーダンス法(bioelectrical impedance analysis法:BIA法)により測定される体水分量(total body water: TBW)に対する細胞外水分量(extracellular water: ECW)の割合である浮腫値(extracellular water/total body water: ECW/TBW)は,透析療法においてドライウエイト(DW)の一つの指標となることが報告されている1).ECW/TBWの標準値は0.360~0.400であり,0.400を超えると高いと評価されるが,ECW/TBWは水分量以外に年齢・栄養状態・筋肉量などの影響を受ける.著者らは,InBodyを用いた上野ら2),Seinoら3),佐々木ら4)の報告を参考にECW/TBWに影響を与える性別・年齢・骨格筋指数(skeletal muscle mass index: SMI)・糖尿病(DM)および低アルブミン(Alb)の有無を考慮し,患者ごとの標準的なECW/TBW(標準ECW/TBW)を算出し,その標準ECW/TBWを用いてInBodyによる理想DW計算式2,5)で理想DWの算出を試み,その有用性を検討した.算出された理想DWは臨床DWと強い関連性を認めた(r=0.997, p <0.001).ECW/TBWは,透析後の体重と臨床DWの差(Δ臨床DW)との関連性は弱かったが(r=-0.167, p =0.001),透析後の体重と理想DWの差(Δ理想DW)と良好な正相関を認め(r=0.892, p <0.001),患者ごとに適した標準ECW/TBWで算出した理想DWは,浮腫の程度をより反映し,DW 設定の指標として有用と思われた.