人工透析研究会会誌
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Diaiyzerの膜および形状による血小板への影響
芝本 隆松井 則明中村 義弘秋葉 隆岩本 均吉山 直樹中川 成之輔根本 毅志
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1981 年 14 巻 3 号 p. 125-128

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抄録
目的: Dialyzerによる血小板損傷の示標として, 血小板活性化の過程での顆粒より放出されるbeta-thromboglobulin (β-TG) と血小板第4因子 (PF-4) を測定し, cellulose系のcuprophane, regenerated cellulose, cellulose acetateの各膜dialyzerでの血液透析による動態の比較と, dialyzerの形状の違いでのβ-TG動態の変化などについて検討した. 対象と方法: 本学腎センターにて血液透析施行中の慢性腎不全患者15名を対象とした. β-TG, PF-4の採血は, 透析前後に非シャント腕より行なった. 血小板に作用すると思われる薬剤の投与は行なっていない. cuprophane, regenerated cellulose, cellulose acetate膜による各種dialyzerを比較した. 形状による比較はcuprophane膜dialyzerによる, 円筒形, 偏平形, spiral形の相違において検討した. PF-4はcuprophane, regenerated cellufose膜による血液透析前後について検討した. β-TG, PF-4はRIAにて測定した. なお使用したdialyzerはすべて中空糸型, EOG滅菌である. また, 滅菌法 (EOG, ホルマリン) の違いによるβ-TG動態についても検討した. 結果: β-TG動態はcuprophane, regenerated cellulose, cellulose acetate膜すべてのdiaiyzerで開始時に比べ透析後の上昇傾向を示したが, cuprophane膜dialyzerでは, 透析前112±21ng/ml, 終了時148±36ng/mlと有意 (P<0.05) の, 他に比して著明な上昇を認めた. 形状の違いでは, 円筒形, 偏平形, spiral形とそれぞれ有意の上昇を示したが, spiral形に最も強く, 前112±19ng/ml, 後150±32ng/mlであった. PF-4についてはcuprophane, regenerated cellulose膜いずれも透析前後では差が認められなかった.
考察および結論: cellulose系膜dialyzer使用による血液透析でのβ-TG動態はcuprophane膜においてのみ透析開始時に比べ終了時有意の上昇を認めた. これはcuprophane膜dialyzer使用による血液透析では, 血小板損傷の程度が強いことを意味するものと思われる. 形状の違いでは, spirai形に強い上昇を認めたことは, 中空系のbindingによっても血小板損傷の程度が異なることを示している. PF-4はβ-TGに比べその動態の変化が少ないことがわかった.
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