人工透析研究会会誌
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血液透析中のリンパ球ロゼット形成細胞の動態
宮沢 修三森田 隆久上村 伸一郎原田 隆二尾辻 義人橋本 修治二宮 誠松元 正浜崎 泰昶
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1982 年 15 巻 1 号 p. 51-57

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抄録
血液透析が免疫応答系, 特に末梢血リンパ球subpopulationに及ぼす影響について検索した. 対象は週3回の維持透析を受けている安定期の患者で, cuprophan膜を用いて透析を行っている者10例とpolycarbonate membrane (PCM) を用いている者2例とした. 方法はこれらの症例で, 透析前, 透析開始後15分, 60分, 120分に採血を行い, 白血球算定, アナリーゼ, 補体価の測定, 及び矢田らのmixed rosette法を用いてリンパ球subpopulationの測定を行った. その結果, 1) 血液透析の初期 (15分) にdouble-RFCは透析前値の38.7±13.6%にEA-RFCは52.2±18.0%に著明 (P<0.001) に減少し, 60分には回復した. 今回減少を示したdouble-RFCはTγ cellでありsuppressor T cell及びkiller T cellの一部である. またEA-RFCはB cell, K cellを含むsubsetsである. 2) 透析中にT細胞の比率には変動は認められなかった. 3) 透析中にリンパ球数は20%前後の減少を認めた. その主体はdouble-RFCおよびEA-RFCの減少と思われる. 4) これらsubsetsの減少にはIgGのFcレセプターを介したメカニズムの関与の可能性が考えられる. 5) 透析初期の好中球や単球の減少には補体の活性化を介さないメカニズムも存在すると思われる.
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© 社団法人 日本透析医学会
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