人工透析研究会会誌
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合併症対策 腎性貧血の治療
越川 昭三秋沢 忠男
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1982 年 15 巻 2 号 p. 173-186

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抄録
腎性貧血の成因は, エリスロポエチン欠乏と骨髄抑制性uremic toxinが2大因子である. 透析患者では, それ以外に残血による鉄欠乏, 外因性toxinによる溶血, 薬剤の影響なども考慮する必要がある.
腎性貧血の治療原則は, 上述の2大要因を除去することにある. エリスロポエチン欠乏に対しては, 現在これを補給する方法はないが, 男性ホルモン投与はエリスロポエチンの分泌を刺激し, また直接に骨髄を刺激する作用によって, エリスロポエチン補給の代用と考えることができる. 男性ホルモンとして, 肝障害の少ないメピチオスタンの臨床経験と使用法について述べた. 一方toxin除去法として, 血液透析も有効であるが, 中分子量領域のtoxin除去には血液濾過と腹膜透析が有効である. 男性ホルモン投与とtoxin除去法の組合せにより, 貧血の治療効果をさらに向上させることができる.
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© 社団法人 日本透析医学会
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