人工透析研究会会誌
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血液浄化装置の性能評価
草刈 修一望月 節子松橋 茂子長岡 京子高田 美幸川口 純子南部 正人久保 星一笠木 正明酒井 糾片岡 浩国友 哲之輔
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1982 年 15 巻 3 号 p. 311-316

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抄録
最近の血液浄化法の傾向として, 従来の小分子量物質除去の目的から一歩前進して, 中・大分子量物質の除去が注目されている. それに伴って種々のタイプの人工腎臓が開発されているが, 今回, これらの中からRP-6 (PAN膜), B1-L (PMMA), PAN-15 (PAN膜) の濾過型人工腎臓 (以下Hemofilter) を選び, Hemofiltration (以下HF) における低分子量蛋白, β2-microglobulin (以下β2-MG), myoglobin (以下Mb) の透過性能及び除去性能について検討した. RP-6, BI-Lではβ2-MGは除去され, RP-6では透過性が認められたが, BI-Lではsieving coefficient (以下SC) とは相関しない動きが見られた. すなわち, β2-MGはPMMA膜に吸着されることを示唆しているものと考えられた. PAN-15ではβ2-MGはHFによりHctやTPの変化からみた血液濃縮以上の上昇を示し, 生体内で何んらかの反応が起こっている可能性を示唆しているが, 今回の検討でははっきりしなかった. 今後の課題として免疫学的な検討をも必要とする可能性を残したものといえる. Mbの動きについてはβ2-MGとほぼ同じ変化を示しているが, RP-6, BI-Lでは透過性は微少なものであり, PAN-15ではほとんど認められず, むしろ濃度の上昇すら見られた.
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© 社団法人 日本透析医学会
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