人工透析研究会会誌
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Ca2+拮抗性循環改善剤塩酸ニカルジピンの血液透析による除去能
主としてin vitroにおける除去率, およびdialysanceについて
入江 康文林 弘美勝美 一治北沢 昭治本吉 等嶋田 俊恒小高 通夫小針 孝司
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1983 年 16 巻 2 号 p. 115-120

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抄録
慢性腎不全患者の高血圧症に対して種々の降圧剤が使用されている. 高度の腎機能障害を有する患者に対しては他の薬剤と同様に, 降圧剤についても, 蓄積性, 透析による除去率, dialysance等を知ってから使用する必要がある. 今回われわれはCa2+拮抗性循環改善剤, 塩酸ニカルジピンについてウシ血液を用いてin vitroにおける透析による除去率, dialysanceを測定した. その結果, 透析120分後の除去率は15.8±1.8%であり, 透析開始60分後のdialysanceは4.5±1.3ml/minであり, 血中半減時間は456±81分であった. すなわち塩酸ニカルジピンは透析により, わずかに除去されることがわかった.
次に高血圧症を伴う長期透析患者2例に対し塩酸ニカルジピンを1日量40mg-60mg, 14日間経口投与して, その血中濃度を, 毎回の透析前後に測定した. その結果, 蓄積傾向を認めず, 透析による変化も少ないことがわかった.
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© 社団法人 日本透析医学会
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