抄録
慢性腎不全患者の水分管理を目的に, 体液量測定に除脂肪体重 (LBM) の概念を導入した. これは総体液量にurea space (US) を採用する場合, 正常者ではUS/LBM (=k) がある一定値を与えることを利用したものである.
%体重としてのLBMを (身長-腹囲) の1次式で表わすとき, 水管理の良効な症例では, USと体重との比もまた (身長-腹囲) の1次式として回帰することができた. この回帰直線から大きくはずれた症例群 (4例) 中にsalt-water依存性高血圧, 心肥大を合併するoverhydrationの3症例を認めた. したがって身長, 腹囲およびUSの測定により, 患者の水管理を評価することができるものと思われた.
水管理の比較的良効な11症例では, USがLBMの65-70% (=k×100) となり, 水分量はLBM基準で評価されなければならないことを確認した.
本法により身長, 腹囲, 体重の測定から, 各患者に対して適当な総体液量を設定することができた.