人工透析研究会会誌
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透析液吸着・再生装置による重曹・高Na透析について
上山 秀麿辻横 和子川口 小夜子田中 厚子国沢 としみ中村 康子
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1985 年 18 巻 1 号 p. 19-25

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抄録
透析液吸着・再生装置 (REDYシステム) を利用した重曹・高Na透析について検討を行った. 導入期および安定期の患者10名 (男7名, 女3名) を対象とし, 自家製の重曹透析液 (Na140mEq/l, HCO3- 86mEq/l, 浸透圧290mOsm/l) による「重曹・高Na透析」と, 市販の酢酸透析液による「酢酸透析」を同一患者で行い, 透析液と血液の変化を比較検討した. 透析液についてはNa, pH, HCO3-, PCO2, PO2, 浸透圧の経時的変化をしらべた. 血液については透析前後に血液ガス, 電解質, BUN, クレアチニンを測定した. またREDYシステムとアルミニウム (以下Al) の関係をしらべるため, 同様の方法で透析液と血液のAl濃度を測定した.
透析液のpH, HCO3-, 浸透圧は, 透析開始前から透析開始後1時間の間の変動が大きかった. Naははじめ低下し以後漸次上昇していった.
血液のpH, HCO3-, BEは, 透析後で重曹・高Na透析の方が有意に高値を示した.
透析液Al濃度は, 酢酸透析では時間の経過とともに増加傾向を示したが, 重曹・高Na透析では, 15mcg/l以下の小幅な変動にとどまっていた.
血中Al濃度は, 酢酸透析, 重曹・高Na透析ともに, 透析後の値が高かったが, 両者の間に有意の差はみられなかった.
REDYシステムによる「重曹・高Na透析」は簡単かつ安全に行うことができ, 「処方透析」の1つとして有用な方法と考える.
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© 社団法人 日本透析医学会
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