人工透析研究会会誌
Online ISSN : 1884-6203
Print ISSN : 0288-7045
ISSN-L : 0288-7045
糖尿病性腎不全患者のblood access
小路 良中尾 俊之石田 裕一郎奈良 貞博石飛 幸三
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 18 巻 3 号 p. 269-272

詳細
抄録

糖尿病由来の慢性血液透析患者は近年, 増加しているが, blood access troubleのために本治療の実施が困難となる症例も少なくない. そこで, 当院で慢性血液透析中の腎不全患者30例 (糖尿病群15例, 非糖尿病群15例) を対象にtroubleの頻度, 種類, 治療内容および病因解明の糸口として血液粘度, 血小板機能およびblood accessにおける循環動態の変化を検討し, 以下のごとき結果を得た.
1) 糖尿病群での血栓性の血管閉塞の頻度は著しく高く, 19.4 patient monthに1回の再建手術を必要としたが, 非糖尿病群では113.5 patient monthに1回の頻度であった. 2) 血液粘度, 血小板機能は両群間に有意差は認められなかった. 3) 糖尿病群でのblood access部の循環動態の変化は著しく, 特に坐位では透析後のシャント血流量が著明に減衰するのが認められた.
このblood access部での循環動態の変化が糖尿病群における高頻度のblood access troubleの主因と思われた.

著者関連情報
© 社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top