人工透析研究会会誌
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単針透析における各パラメータの透析効率に及ぼす影響
小田 正美柏原 昇池内 幸一山本 正仲山 実早川 正道大澤 炯
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1985 年 18 巻 3 号 p. 295-299

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抄録

Single needle dialysis (以下SNDと略す) は, 1960年代に開発され, 数多くの利点があるにもかかわらず, いまだ一般化しているとはいい難い. しかも本邦においては, SNDの透析効率に影響するパラメータについての研究が少ない. そこで我々はSNDの最適使用条件を得る目的で, シャント内流量, 体外循環流量, blood return time, blood return pressureの4項目について独自の実験系を用いて検討した.
実験は以下の通りとした. すなわち尿素濃度100mg/dlを含む患者側シュミレーションプールと, 体外循環系であるSNDのセットを連結した状態で各パラメータを変化させ, 30分間循環後, 尿素除去率を測定しこの効率を比較することにより透析の至適条件を検討した.
結果: 1. シャント内流量が100, 200, 300ml/minと増量するに伴い尿素除去率が有意に増加した. 2. シャント内流量が少ない場合 (200ml/min以下) は, 体外循環流量により除去率は影響を受けないのに対して, シャント内流量が十分 (300ml/min以上) な時は, 体外循環流量の増量に伴い除去率は増加した. 3. blood return timeは, シャント内流量のいかんにかかわらず除去率に影響を与えなかった. 4. blood return pressureの上昇は, 除去率の増加をもたらした. 5. シャント内流量が200ml/min以下の時は, double needle dialysis (DND) とSNDとの間に除去率に関して有意差を認めないが, シャント内流量を増量させるとDNDの除去率が有意に増加した.

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© 社団法人 日本透析医学会
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