日本透析療法学会雑誌
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男性慢性血液透析患者における性腺機能障害
DHT, testosterone, androstenedione, Zn動態
長谷川 弘一小田 初夫森口 英世岡本 輝夫聴濤 貴一郎松下 義樹井上 隆西沢 良記森井 浩世
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1985 年 18 巻 5 号 p. 473-478

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抄録

血液透析中の男性慢性腎不全患者25例について血中5α-dihydrotestosterone (以下DHTと略す), testosterone (T), androstenedione (A) をradioimmunoassay, Znを原子吸光法を用いて測定した. 同時にLH, FSH, PRLをもradioimmunoassayを用いて測定した. 血液透析中の患者では健常人に比してT, DHT, Znは有意に低く, A値は有意に高かった. 血中T値とHt値との間に有意な正の相関関係を認め, TとDHTとの間には相関傾向を認めた. 年齢についてはLH, FSHは高い群ほど高値であった. 透析期間についてはT, LH, FSHは長い群ほど高値を示し, DHTについては低値を示した. AからT, TからDHTへの変換状態をみるためにA/T+DHT, T/DHTを求め, これらと透析期間, 血中Znとの関係をみたところ, T/DHTと透析期間の間に有意な正の相関関係を認めた. Znとの間にはいずれも有意な関係はなかった.
以上の成績より男性血液透析患者の性腺機能障害については血中Tの低値とともに, より生物学的活性の高いDHTの低値が関与している可能性が強かった. またTのpre-hormoneであるAの高値については, AからTへの変換に障害があることが考えられ, 17β-hydroxysteroid dehydrogenaseの活性についても考慮すべきと思えた. しかしこれらの変換にZnが関与している可能性は見い出し得なかった. 透析期間とともにTは改善するが, DHTについてはさらに低値を示した.

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© 社団法人 日本透析医学会
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