日本透析療法学会雑誌
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陽圧型コンソール用UFR測定器と逆流防止用血液回路の試作とその臨床使用について
鈴木 仁安島 慶朗高橋 伸昌千田 佳子吉山 直樹
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1986 年 19 巻 4 号 p. 329-334

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抄録

陽圧型コンソールは, 陽圧に耐圧性のあるHollow fiber dialyzerの普及率拡大や, bicarbonate透析に有利であることから普及してきている.今回我々は経済性に優れ保守管理も容易な, 陽圧型コンソール用のUFR測定器を開発したので報告する.従来のUFR計の流量計は目盛の精度が低いこと, 血流の逆流現象による濾液量の変動が測定目盛の±50-±150ml/hour幅も起こるため, 値の読み取りが困難であり普及していない.このため読み取りを容易にし, 濾液流量の変動を抑える逆流防止用血液回路の開発とregulatorを試作した.また配管系に対し並列に継ぐことによって, 精度の高い流量計を使用可能にした.限外濾過量の測定を正確に実施するためには, 測定時の圧力を透析時の圧力と同一にすることである.このため位置水頭とorifice利用して透析液側の圧力を零に近づけ, またorificeの作用でUFR計内を常に液が流れる状態を確保し消毒可能にした.しかし透析液側の圧力を完全に同一条件にはできないために, 発生する圧力誤差要因に対しては, 透析状態時の実際の限外濾過量と測定値を合わせる可動性の補正目盛板を使用した.実験はinvitroでUFR3.7と5.5ml/mmHg/hour のダイアライザーを使用し, 透析液温度37℃, QB=200ml/mln, QD=500ml/minの条件で, 圧力制御機能付クレンメにて目標除水量を設定後, 1時間の達成除水量を測定したところ, 目標除水量に対する達成除水量の誤差は2.6±1.4および3.2±1.7%であり, 臨床使用に十分耐えうるものになった.このUFR測定器は限外濾過量の変化を観察しながら, 圧設定ができるという要請に答えたものと言える.

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