日本透析療法学会雑誌
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慢性腎不全患者のインスリンレセプターに関する研究
各種血液浄化法における変動
入谷 純光
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1986 年 19 巻 4 号 p. 341-355

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抄録

慢性腎不全患者の耐糖能異常の原因を調べるために, リンパ球insulin receptor assayを実施した.
その結果, HD, CAPDにより耐糖能異常は改善するが, insulinの過分泌を伴っており, その改善は不完全なものであることが示された.非透析腎不全患者のinsulinの特異的結合率は有意に低下していた.一方, HDおよびCAPD患者の特異的結合率は正常対照群と有意差を認めなかった.しかし, 比較的高いinsulin濃度において, 健常人との差が拡大する傾向があり, HDおよびCAPDのinsulin過分泌を考慮に入れれば, 末梢のinsulin感受性は健常者よりも劣ると考えられる.
HDとCAPDの比較では, CAPDは透析液による糖負荷があるにもかかわらず, HDと同一レベルにあることより, CAPDの方が耐糖能の改善効果は優れていると考えられる.
Insulin receptor assayの材料として赤血球を用いた場合, 慢性腎不全患者においては, insulin receptor数が高値を示す場合があり, 注意を要する.

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© 社団法人 日本透析医学会
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