日本透析療法学会雑誌
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血液透析患者の貧血と赤血球アルミニウムについて
菊池 正俊三浦 義昭石山 剛五十嵐 謙一下条 文武荒川 正昭
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1987 年 20 巻 2 号 p. 159-163

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抄録
血液透析患者の血清アルミニウム (Al) 濃度および赤血球Al含量を測定し, Alが血液透析患者の貧血にどのように関与しているかについて検討した.
血清フェリチン値が50-450ng/mlで, 感染あるいは肝障害を認めない血液透析患者27名を対象として, 血清Al濃度, 末梢血RBC, Hb, Htを測定し, 同時に赤血球溶血液をつくりAl濃度を測定して, 赤血球1013個あたりのAl含量を算出した. なお, Al濃度は原子吸光法にて測定した.
対象とした血液透析患者の血清Al濃度および赤血球Al含量は, 健常対照群と比較して, 著しく高値であった. また, 透析患者の血清Al濃度と赤血球Al含量は比較的強い正の相関を示した. 一方, 血清AI濃度とMCHおよびMCVとの間に, また, 赤血球AI含量とMCH, HbおよびHtとの間には有意の負の相関が認められた.
以上の結果より, 血液透析患者では, 赤血球AI含量は血清AI濃度に比例して増加しており, Alの蓄積は貧血を増強する一因となるものと考えられた.
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© 社団法人 日本透析医学会
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