日本透析療法学会雑誌
Online ISSN : 1884-6211
Print ISSN : 0911-5889
ISSN-L : 0911-5889
血液透析患者におけるCefoperazone (CPZ) の薬物動態について
海津 嘉蔵瓜生 康平保利 一滝下 正英江藤 澄哉
著者情報
キーワード: 血液透析
ジャーナル フリー

1987 年 20 巻 2 号 p. 153-157

詳細
抄録
Cefoperazone (以下CPZと略す) の維持透析患者における薬物動態を検討した. 10例の維持透析患者 (男女各5例, 年齢43±13歳) を対象とした. CPZ 1gを透析日 (透析開始直後) および非透析日に投与し, 血中濃度を経時的に測定した. CPZの血中濃度の測定はbioassayによった. 得られた結果をもとに, two compartment modelを用いて解析し, 最高血中濃度 (Cmax), 消失速度定数 (Kel), 生物学的半減期 (T/1/2) を算出した.
透析日におけるCPZの血中濃度は, 投与15分後122±42μg/ml, 1時間後74.2±31μg/ml, 2時間後39.5±12μg/ml, 4時間後21.3±8μg/ml, 5時間後15.1±6μg/ml, 24時間後には1例を除き1.56μg/ml以下であった. 透析器の動静脈側間におけるCPZの血中濃度には有意差は認められなかった. 非透析日のCPZの血中濃度は, 投与15分後120±45μg/ml, 2時間後51.2±17μg/ml, 5時間後22.5±8μg/mlで, 透析日と有意差はなかった. Two compartment modelに基づき解析したところ, Cmaxは171μg/ml, Kelは0.88hr-1, T1/2は2.13時間であった. 血液濾過施行例ではT1/2は2.45時間であり, 肝障害例では8.7時間と延長していた. また2例の非肝障害例でT1/2が4時間以上を示した.
CPZは肝障害を伴わない維持透析患者の大部分においてはT1/2の延長もなく, また, 透析による血中濃度の低下もないため, 投与方法を変更することなく使用しうる抗生物質である.
著者関連情報
© 社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top