日本透析療法学会雑誌
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各種血液浄化法によるパラコートの除去に関して
関口 博行杉浦 達広萩原 隆二久保 覚志上原 俊司林 高志星野 天志増田 昌代高橋 ひろみ津田 武七吉田 智安藤 公子安藤 義孝
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1987 年 20 巻 6 号 p. 441-444

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抄録

除草剤として広く利用されているパラコート (商品名: グラモキソン, パラゼットなど) は人体に対する毒性が強く, また入手も比較的容易であることから, 近年, 本剤による自殺や誤飲による事故が増加している. 急性パラコート中毒に対する血液浄化法として, 血液吸着法 (DHP) が長時間にわたり連続されているが, 血小板の著明な減少や血液回路内の血液凝固などDHPの副作用は多い. そこでDHPと血液透析法 (HD), 血液濾過法 (HF), 血漿吸着法 (PP) における50ppm, 125ppmのパラコート溶液のクリアランスを測定し, 各血液浄化法の特性を知り, DHPとの比較をし検討した. その結果, 50ppm, 125ppmのパラコート溶液のクリアランスは, DHP, HD, PP, HFの順で, DHPにては50ppmが, 196±3.1ml/min, 125ppmが195±2.9ml/min, HDにては, それぞれ54.1±3.2ml/min, 101.4±5.2ml/min, PPにては, それぞれ65.2±7.2ml/min, 98.1±10.4ml/min (mean±SD) であった. HFは補充液の量によって異なるが, 200ml/hrで行ったところ, 50ppmが53.1±7.2ml/min, 125ppmは85.6±8.2ml/min (mean±SD) であった. このことより, 急性パラコート中毒の治療において, DHPを使用した後のフォロー・アップとしてHDを代用とすることも可能である. 次にDHPのパラコート吸着量について測定, 検討した. その結果, DHPの活性炭1gに吸着されるパラコート量は17mgであった. このことから, 活性炭200gを有するDHPのパラコートを吸着できると推測された.

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