抄録
慢性腎不全患者の自律神経機能を評価する種々の方法についてその有用性を検討した.
糖尿病性腎症による血液透析患者12例, その他の原因による血液透析患者14例, 健常人12例を対象に, 起立による平均動脈圧の変動およびR-Rmax/R-Rmin, Valsalva ratio, 持続握力試験による拡張期血圧の変動を測定した. また, 最大エントロピー法による心電図R-R間隔の変動やfast fourier変換によるmicrovibration (MV) のスペクトル解析を行い, laser doppler flowmeter (LDF) による末梢の血流量も測定した.
負荷試験では血液透析患者, 特に糖尿病性腎症の患者で自律神経機能の障害が認められた.
心電図R-R間隔の変動のパワースペクトルではspectral densityにおいて有意差が見られたが, spectral densityには定量性がないとの考えもあり, 今後の検討が必要である.
MVにおいて健常人ではtype 1, 2が, 血液透析患者ではtype 1, 2, 3が見られた.
LDFによる血流量は下肢で有意差が見られたが, 自律神経機能の指標にはならないと思われた.
以上より, 現在のところ負荷試験に優る検査法はないと思われる. 今後, 心電図R-R間隔の変動, MVなどの解析方法をさらに検討することにより, 自律神経機能の評価が可能になると思われる.